◆ 「QOLプロモーションフォーラム」の開催報告

 第1回大阪市立大学生活科学研究科QOLプロモーションフォーラム
      ―QOLプロモーター育成による地域活性化―

    ■ 概 要

      大阪市立大学生活科学部では、食品栄養・居住環境・人間福祉の3学科が各領域の専門職を育ててきました。しかしながら、地域生活の質的向上を図るには、専門職がそれぞれの領域を越えて連携し地域住民と協働して取り組むことが必要になってきています。本学部では、従来のスペシャリスト養成に加えて、生活問題を総合的に把握する能力を有する専門職の養成を始めました。今年度は地元の住吉区を中心に、住民の方々の子育てや高齢者介護に学生と教員が協力したり、障害を持つ方々の声を直接拾い上げる活動を展開したりしました。

      平成18年3月18日(土)、大阪市の住吉区民ホールにて第1回 大阪市立大学生活科学研究科QOLプロモーションフォーラムを開催し、半年間の活動の様子を下記のようなプログラムで報告しました。また、地域生活の向上に大学を活用するためのアイデアなどを住民の方々から会場で直接お聞きしたり、アンケートを通じて収集しました。

  • 1. QOLプロモーター育成事業について(報告者 西川禎一)

      大阪市立大学大学院生活科学研究科では,人々のQOL(生活の質)向上をめざして,教員・学生と地域住民との協働による活動に取り組んでいます。本フォーラムは,“子ども・高齢者・障害者と共に暮らす町を考える”をテーマにこれまでの活動をご紹介し,みなさまからご意見やご要望をいただきより良い活動に発展させることを目的としています。 活動報告では,(1)大学側から見た市民活動の課題,(2)大学側参加者が市民グループや他の参加者から学んだこと,(3)市民グループから見た大学側参加者の課題,(4)参加者から大学への要望などを話し合います。お誘いあわせのうえご参加ください。

  • 2. 高齢者介護グループの活動報告(司会 曽根良昭)

      高齢者の認知症の治療と予防に役立てるために,曽根教授を中心とするグループは,市民グループと懐かしい調度品に囲まれた部屋で思い出話に花を咲かせるなど,新しい取り組みをしています(回想法と言います)。その効果や可能性,立ち会った人たちの感想を報告します。

  • 3. 子育て支援グループの活動報告(司会 山縣文治)

      これまで育てられてきたけれど,自分は育てたことがない。そんな学生たちが,山縣教授と一緒に教室を飛び出して,地域の方々の子育て支援活動を学びました。学生たちを受け入れてくださった地域の方々,参加した学生たちが共に報告し,大学と地域が一緒にできることを考えます。

  • 4. 障害者問題取り組みグループの活動報告(司会 堀 智晴)

      障害を抱えて地域に生きることの苦しみや喜びを直接聞きたい。堀教授と学生たちはそんな気持ちで障害者の方を大学にお招きしました。どんな意見交換をし,考えたかを報告します。

  • 5. 総合討論―Livable Town Sumiyoshiを目指して―(司会 森 一彦)

      一人ひとりのQOLを高めること,地域のQOLを高めて住みよい町(リバブルタウン)を創造すること,地域に暮らす人々と大学が手を取り合ってそんな町づくりをめざしたい。これからの方向をみんなで話し合いましょう。

  • 6. おわりのあいさつ(白澤政和 生活科学研究科長)

      生憎の強い雨の中ではあったが、大阪市立大学の教員・学生と本事業に参加いただいた地元住民の方々や大阪市内各地の民生委員および住吉区役所職員、また通知を見て当日参加された一般市民など、約90名の参加者を得た。

    ■ 成 果

      参加者から生活科学研究科に電子メールで直接に意見が寄せられたり、地域づくりに関する著作を持つ市民活動家から書籍を寄せられるなど、参加者が多くはなかったものの、意義ある意見と情報の交換ができた。本事業では、大阪市立大学の所在地である住吉区を活動の場とすることを基本としているが、フォーラムに参加した他区の活動団体からも招請の声が上がり、市民に開かれた、市民のための大学を期待する住民の熱意が感じられた。

      単なる大学から地域への一方的貢献ではなく、ともすれば学問の世界に耽溺しがちな研究者の目が住民によって開かれるような、大学教育の改善(FD)を地域からフィードバックされるような意義あるものであった。

    ■ 今後の課題と取り組み

      FDあるいはJABBEEなど各学科における教育自体がより一層の専門化と密度の高まりを見せる中で、本取り組みに参加を希望する学生にとっては学科専門科目とのぶつかり合いを避けながら的確に履修する時間を見出すことに困難を感じるものが多い。従来のカリキュラムと本事業関連科目および演習とのきめ細かい調整によって、より多くの希望学生が安心して履修できるように工夫する必要があろう。