◆ 取組の目的とその背景

(1)取組の概要

生活科学教育は、食品・住居・福祉など細分化された個々の生活要素に焦点を当て、人々の生活向上に貢献する専門職を養成してきた。しかし、現在の成熟社会では生活問題は複合化しており、個別専門職のみでは人々のQOL(生活の質)を向上させるには限界がある。本取組では、生活者のQOLニーズを俯瞰的に把握・分析するニーズアセスメント能力やコーディネーション能力を有し、パートナーシップによる問題解決を図ることのできるQOLプロモーターを育成する。具体的には、地域の横断的組織(住吉区ネットワーク)と連携し、本学部を構成する3学科学生と、地域の多様な専門職や住民が協働して解決方法を学ぶマルチプレックス・フィールドワーク教育(複眼的視点修得のための実習)をコアとするQOLプロモーション教育プログラムを開発する。これは、生活科学教育のみならず専門職業人教育のイノベーションであり、かつ地域活性化に寄与するものである。

(実施地域:大阪市住吉区)

図1 本教育プログラムの概要
図1 本教育プログラムの概要

(2)プログラムとの適合性

<取組の目的とその背景>
本学部は、わが国最初の生活科学部として、管理栄養士・建築士・インテリアプランナー・社会福祉士・精神保健福祉士・養護教諭・認定心理士など数多くの優秀なスペシャリストを、各学科の先駆的取組によって育成・輩出し、卒業生は実践現場や教育機関において指導的役割を果たしている。

一般的に、生活科学教育は食品・住居・福祉など細分化された様々な生活要素に関する専門職を学科別に育成することに力点が置かれ、ひいては各専門職も自らの職域の活動に留まってきた。しかしながら、地域社会に目を向けると、複合的な問題が多数発生しており、それらは個別の生活要素に還元するだけでは、生活者のQOLは向上しない。QOLは、個人のライフサイクルの中で、それぞれの身体的、心理的、社会的要素やライフヒストリー等との関連性の上に成り立っており、その向上のためには、生活全体を捉え、生活者の自己決定を核にして、様々な専門職や地域住民が協働して取り組むことが必要である。

本学部では、従来のスペシャリスト養成に加えて、俯瞰的視点を持ち、各生活要素を統合・再構成する能力を有する専門職養成を目指したい。本取組においては、本学部3学科の学生・教員が学部横断的に教育プログラムを展開し、住民・専門職・行政で構成する「地域ネットワーク」を活用したマルチプレックス・フィールドワークにより、生活全体を俯瞰的に把握し、QOL向上に寄与できる能力を持つ専門職の教育プログラムを開発する。

<学部理念と本教育プログラムの適合性>
生活科学部の理念は以下の通りである。

本プログラムの目標は、1.学生が「生活者の視点」を体得すること、2.生活科学の基盤を構成する「学際」の実像を学ぶこと、3.21世紀型生活スタイルの創造を担うQOLプロモーターを育成することにあり、本学部の理念を達成する極めて有効な内容である。

本プログラムは、生活科学教育の将来像を教員と学生が議論する中から形成されたものであり、学部構成員全てが一致して参画することに意義がある。また、学生と同時に、地域の専門職や住民をQOLプロモーターとして育成することで、地域社会への貢献に収斂することが特徴である。